【イケメン戦国】プレゼントを探せ!〜徳川家康誕生祭⑤〜
第9章 【真紅の水仙】〜誕生祭⑤〜中編
照れあって、
いつまでも動き出そうとしない二人。
(そんな意味が///)
(どうしようっ///)
食べさせ合うという行為自体は、普段からでも偶に二人はしている。現に苺狩りの時、お互い選び合ったものを食べ合ったのは時は違えど、今日の昼間。
しかし今回は意味が意味だけに、
なかなか行動に移せずにいた。
秀吉は優しい溜息を吐き、光秀はにやつき、三成は事の成り行きをニコニコと待ち、政宗はやれやれ顔を浮かべていたが……
(……煮え切らないヤツだ)
今まで静かに見守っていた信長。痺れを切らしたように、脇息に預けていた肘を持ち上げた矢先のことだった。
「……大きさが違うのは、何か決まりがあるの?」
最初に口開いたのは、家康。
「え……。う、うん!えっとね、確か大きいサイズが新婦から新郎さんに食べさせるスプーンで……えっと……」
ひまりが指をさしながら説明していると、家康はスッと大きい方のスプーンのリボンが付いている取っ手を人差し指と親指で挟んで、差し出す。
「同時に食べるとかはなし?」
「それはまた別の……ふふっ!全然ありだよ!」
大輪の花が、
ひまりの表情に咲く。
「ようやく動いたか」
「二人らしくて良いな」
「家康の一口。あれは大分、大きいぞ」
「ったく。幸せそうな顔しやがって。完全に俺らの存在忘れてるな」
「私もぜひとも……あーん。されたいですね」
三成の言葉に「誰にだ?」鋭い突っ込みがどこからか飛んだ。
「ん〜〜生クリームの甘さと苺でおいしぃ〜」
デザートスプーンサイズに乗ったケーキは、全部ひまりの口の中に。
「……ほんと。……でも、あったかい味もする。……美味しいよ」
それより一回り大きいサイズに乗ったケーキは、家康は大口を開けて食べた。
二人は顔を見合わせ笑い合う。
「生クリーム付いてるよ!ふふっ。信長さまと同じだね?」
二人の口に広がった、しっとりと焼き上げられたスポンジと口当たりなめらかなホイップクリーム、そして後から続く、真っ赤に熟れたイチゴの甘酸っぱさ。
同時にするファーストバイト。
それは……
「二人で働いて二人で家事して、一緒に人生を歩んでいこう」という意味が込められている。