【イケメン戦国】プレゼントを探せ!〜徳川家康誕生祭⑤〜
第9章 【真紅の水仙】〜誕生祭⑤〜中編
それに反応したのは、上座の近くの席にいた光秀だった。実は現代で買い物をしている時に、佐助がスプーンを購入していたと話す。
「そっかぁ。秘密会議の時に、スプーンって言ってたから、ちょっと気になってたんだ」
「秘密会議???」
「あ!……ふふっ。そう秘密会議っ」
うっかり口を滑らせてしまったひまりだったがケーキも披露し、宴も始まったことだからと思い、今日の為に皆んなで打ち合わせしていた事を正直に話した。
それには薄々気づいていた家康。
「まぁ、あれだけ材料探しも大掛かりだったし、何かあるとは思ってたけどね」
「でも、私も知らないこといっぱいあったんだよ?宝探しも、まさか現代に行くなんて本当にびっくりしたんだからっ」
「はいはい。……まぁ…良いけど」
悪戯がバレた子供のように笑うひまり。その頬をふにっと、掴む家康の表現はどこか優しい。
「くくくっ。それはそうと、それで『ふぁーすとばいと』とやらをしなくて良いのか?」
使い道もしっかり聞いていた光秀。このスプーンがファーストバイト用だと確信した途端、ひまりは真っ赤に顔を染め口をもごもごと動かす。
繊細なデザインの銀スプーン。シンプルでも、ぬくもりが感じれる取っ手の部分には、装飾された可愛らしいリボン。ひまりも間近で見るのは初めてだったが、現代にいた頃に友人の結婚式で見たこともあり意味も知っていた。
「もしかしたら…そ、そうかなとは思ったけど…///でもっ…これは…///」
「…その……ばいと…って何?」
それは、
その場にいたほぼ全員が思った疑問。
結婚披露宴で、新郎新婦がウェディングケーキを食べさせ合うファーストバイト。
「一生食べるものに困らせない」
「一生おいしいものを作ってあげる」
という意味が込められている。
その事を恥ずかしそうに、時々声を小さくしたりしながら、ひまりは話すと……
「だから、そのっ///本来は結婚式の時にする儀式?みたいな感じ……でね?///」
チラッと上目遣い。
その可愛い仕草と、ファーストバイトの意味を聞き、家康は口元に手を当て、気恥ずかしさから視線を横に向ける。現代に行っている間に、結婚イコール祝言なのは聞いていたからだ。