【イケメン戦国】プレゼントを探せ!〜徳川家康誕生祭⑤〜
第9章 【真紅の水仙】〜誕生祭⑤〜中編
始まった祝宴___
部屋の中に黄色の焔がいくつも灯され、華やかな料理が並べられた膳。それぞれが自分の席に座りはじめた。
「へぇ……綺麗な飾りだね」
「針子の皆んなが手伝ってくれて。梅の花生けは、秀吉さんが準備してくれたんだよ」
家康は席に座ると同時に、
部屋の飾り付けをぐるりと見渡す。
ケーキを乗せた蝶足膳。ひまりが一先ず家康の席と自分の席の前の置くと、政宗がすかさず声をかける。
「ひまり。『けーき』を先に家康に食わせてやれ。俺が作った専用の料理と例の唐辛子入りで舌が麻痺する前にな」
「例の?……ってかまるで、俺の味覚がおかしいみたいに言わないで下さい」
「現におかしいだろ。あの『すぽんじ』作りで食のありがたみが少しは理解したようだけどな」
「ふふっ!そうだね!えっと…なら、取り分けて箸で……ん?」
ひまりはある事に気付き小首を傾げる。
「ねぇ、家康?その箱なに?」
「あぁ……これね。……ここに来る前に佐助に渡された。宴で使うものらしい。ひまりなら使い方がわかるからって」
味わいある桐素材の箱。
聞こうと思ってたとこ。と付け加え、あえて真の贈り物に辿り着く物だとは伏せた。家康がそう答えのは、一人で探すように佐助に言われたのが理由だ。
「え?佐助くんから?……あ!」
そう言えば!姿が見えない!
普段から神出鬼没の佐助。ひまりは、キョロキョロと壁や天井などに視線を動かす。
「帰っちゃったのかな。まだお礼も……それにっ///」
「なんで頬膨らませて赤くなってんの?」
「な、なんでもないよ///」
ひまりはぶるぶると顔を横に振り……
(今は意識しないようにしないとっ///)
そして落ち着かない様子でぎゅっと、エプロンの裾を掴んだ。家康はそれを見て頭に疑問符を浮かべながらも、取り敢えず箱の蓋を開ける。
「案外、どっかで見てるかも。……それより……これ、何?」
「銀のスプーン?…しかもリボンが付いて…あ!!!もしかして……!?」
ひまりは驚き声を上げる。
家康が桐箱の蓋を開ければ、白いシルク素材で内装された上に、大小一つずつ、銀のスプーンが寄り添うように並んでいた。