【イケメン戦国】プレゼントを探せ!〜徳川家康誕生祭⑤〜
第9章 【真紅の水仙】〜誕生祭⑤〜中編
その場にいた全員の想いと願い。
そして……
生まれてきてくれて。
私と出会ってくれて。
側にいてくれて……
ひまりの強い想いが……
広がり、包み込み、吸い込み、
家康の心の奥にまで灯り、届く。
『ありがとう』
チョコプレートのメッセージ。
たった一言に込められた、
数えきれない気持ち。
家康の年の数分の
ロウソクの灯りが消える寸前……
その言葉と、
微かに目元を染めた横顔を照らした。
薄暗い室内。
「ありがとうっ」
「別にここまで……。…そ、の…ありがとう」
直接届けたひまり微笑みと声。そして、天邪鬼な家康なりの精一杯な感謝の言葉と表情が、優しい静寂を打ち破った時。
まさにお約束のように……
「わぁっ!」
コケッ。
何もない床で躓いた一人の影。
「おい三成!大丈夫か?」
「だ、大丈夫です。すいません…誰か手を……ん?これは?」
シュル……
「……きやぁっ///」
「ば、ばかっ。お前っ!それは!」
「ある意味。予定通りだな」
あっちゃーと。額に手をあてた秀吉と政宗。頭を下げ肩を揺らす光秀。そして床に両膝をつけ、ひまりの腰裏にある白いリボンの端を引っ張っている三成。
その光景が家康の目に飛び込み。
「三成……何やってんの……?」
柔らかな笑みがスッと消え去り、
ピクリと動いた眉。
「す、すいません!すぐに…直しますので!あれ?これはどのように結べば……」
ひまりのくびれた腰元に触れ、白いリボンに苦闘する三成。
「み、三成くん!自分で直すからっ///」
「しかしひまり様は、けーきを持っていらっしゃいますし……」
「み〜つ〜な〜り〜」
「「「ぶっ!」」」
三人のやり取りに耐えきれず吹き出す、秀吉、光秀、政宗の三人。上座で信長は目を細め、クッと喉を鳴らして笑いを堪えたのは……日頃の安土組らしい。
祝宴の始まりかたに、
満足したからかもしれない。