【イケメン戦国】プレゼントを探せ!〜徳川家康誕生祭⑤〜
第8章 【真紅の水仙】〜誕生祭⑤〜前編
連なったいくつもの輪。
折り紙で製作した物とは違い張りはないが、多彩な色と柄が一つに繋がり、柔らかく優しい雰囲気に包まれていた。
(よし!出来た!!)
家康の席の背後の壁に飾り付けた時。料理が並べられた朱色の宗和膳とは違い、祝い事に使われる蝶足膳が置かれているに気づく。
「ん?これは??」
「預かった『けーき』を、後でそこに乗せておく」
「私も、ぜひとも早く拝見したいです。それに、家康さまの喜ばれる姿が見れるかと思うと、楽しみでなりません」
秀吉は女中や家来が準備中に謝って、足をぶつけたりしないよう配慮して、隣の部屋で保管していたのだ。三成は、『けーき』という想像もつかない物に興味を抱き、家康の反応に何よりわくわくを隠しきれない様子。
「ふふっ。ほんとだね!いっぱい喜んで欲しいね!……あ。……それなら…」
ひまりは何か閃いたように、手をパンと叩く。そして自分たち以外、部屋にいないのにも関わらず、二人の間に立ち背伸びをして。内緒話をするように、こしょこしょとある計画を相談。
「なるほど。来世はそんな風に祝うのか」
「より一層、楽しみが増えましたね」
「ねっ?きっと!びっくりするよ!」
ぴんと伸ばした人差し指。それを顎に添え、ひまりはふわりと笑う。秀吉と三成はそのこぼれるような笑顔に内心ドキリとしたが、すぐに笑顔を返した。
(これは部屋に飾ろうかな?プレゼント……ちゃんと渡したいから)
ひまりはそっと水仙に触れる。
贈り物に込めた想いを、皆んなの前では恥ずかしくて伝えれないかもしれないと思い、宴後、帰る前に部屋に寄って貰おうと考え、広間を後にして急いで部屋に向かう。
とんとんと踊るような足取り。
(えっと。謙信さまからの贈り物を持って、天守に行けば良いんだよね?)
部屋に入る直前、佐助から「まず部屋に届いているか確認して、中身は見ずに信長公の所に持って行ってくれ」そう耳打ちされていた。