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【イケメン戦国】プレゼントを探せ!〜徳川家康誕生祭⑤〜

第6章 【現代 平成30年1月31日12時】〜思い出の時間〜




戦国時代から持ってきた丸く膨らんだ土台のスポンジケーキ。ひまりは冷蔵庫から取り出し、キッチン台に置いたまな板の上に乗せる。

そして同じ厚み雑誌をスポンジケーキの上下に置いて挟み、ケーキナイフを動かしてスライス。


「三枚に分けるのか?」


「はい!この表面にナッペって言って、生クリームをまず塗って、その上に苺を並べていって……」


二人で共同作業。普段の信長には想像もつかない光景。エプロンを身につけ、パレットナイフ片手に生クリームを塗る姿など、戦国時代に残っている三人に話しても、簡単には信じては貰えないだろう。



「なかなか、厄介な物だな。この『なまくりーむ』と言うヤツは」



慣れない作業。

しかし、その表情は真剣そのものだった。ひまりは隣で苺を薄切りしていた手を止め、そんな横顔を見て……しんみりとした声で礼を述べた。


「フッ。急にしおらしく礼など言いおって」


「信長さまが用意してくれた宝物。家康とちゃんと見つけることが出来ましたから」


「……何を勘違いしている。俺は、貴様らに何も用意などしておらん。それよりも、だ。……次を、説明しろ」


信長は表情こそ一つ変えなかったが、ひまりには伝わっていた。その大きな懐の奥深くにある、壮大な優しさが。



「次は、この切った苺を並べていきますっ」


それがわかっていたからこそ、この時間を大切にしたいと思い、心にも表情にも花を咲かせ続けた。

生クリームをたっぷり塗った白いふわふわのスポンジの上に、真っ赤な苺を敷き詰め、同じ作業をもう一度繰り返す。そして積み重ねて一つにした上から、これまたたっぷりと生クリームを塗り広げていく。


徐々に完成していくケーキ。
想いが一つの形になっていく様を見ながら、『思い出』を振り返る。


ーー…はぁ……捕まえた……。
秀吉さん達とラブ対決中、胸がずっと鳴りっぱなしで落ちつかなくて。

ーーひまり、ほら。取ってみたら。
ささっと袖を捲りあげた姿は、三成くんに負けないぐらい張り切ってたのかも?

ーー結構大変なんだね。
スポンジ作りのあの真剣な横顔は、忘れない。政宗もびっくりしてたかな。

ーーこの歌が示す来世って…恐らく未来の事だよ…っ。
光秀さんの謎々の解き方を教えてくれながら、しっかり繋いでくれた手。




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