【イケメン戦国】プレゼントを探せ!〜徳川家康誕生祭⑤〜
第6章 【現代 平成30年1月31日12時】〜思い出の時間〜
帰宅__
タクシーでマンションまで戻ってきた、家康とひまり。エントランス前で見かけたのは管理人ではなく、光秀と佐助だった。
「ただいま!昼食の買い出しですか?」
「やぁ、おかえり。苺は入手したみたいだね」
「立ち話をしている暇はないぞ。信長さまの元に急げ」
二人が苺狩りに行っている間に、生クリームを泡だて、戻り次第、デコレーションに取りかかれるように準備をしていた三人。しかし、時間を持て余した信長が不機嫌オーラを放ちはじめ、不穏な空気に耐えきれず、ご機嫌を取るため昼食を買いがてら、金平糖を購入してきたのだと二人は説明。ひまりはそれを聞き急いでエレベーターに苺を持って乗り込んだ。
佐助はワームホールの観測がしやすいよう、ベランダ窓のカーテンを開く。
五人は急いで昼食を済まして……
「見ちゃだめだよ///」
ひまりは、クローゼットから昨日購入した紙袋を取り出すと、家康にそう告げる。顔が赤い理由は、ケーキ作りだけでなく、クローゼットも「見ちゃだめ」の意味も込めていたからだ。そして、三人は寝室で待機。可動式のパーテーションは閉められ、信長とひまりはキッチンで、仕上げに取り掛かる。
「信長さま専用のエプロンです!」
「え…ぷ…何だそれは?」
「えっと、前掛けです。お料理する時に着用する物で……付けさせて貰いますね」
紙袋から出したのは、生地の良質なソムリエエプロン。深緑で腰元で結ぶタイプのロングなタイプ。四人の服をショッピングモールで購入時に、一緒に準備していた。背中に回り、腰にエプロンを巻き付けようとすれば、信長はビクッ!と、背筋を伸ばす。
「な、何をする気だっ!」
「え?何ってエプロンを……?」
珍しく取り乱した様子の信長。ひまりは頭に疑問符を浮かべ普通に答える。しかし、もう一度同じように触れれば、目の前の広い背中がビクンッ!と、先ほどより大きく跳ね上がり……
「くすくす……」
「は、早くせぬかっ」
信長がくすぐったがり屋なのを思い出し、ひまりはくすくす笑いながら、なるべく腰元に触れないようにエプロンを装着。
そして自分も、白色のフリルエプロンを身につけた。それを見た信長が、頬骨あたりを赤く染めたのは内緒にしておこう。