【イケメン戦国】プレゼントを探せ!〜徳川家康誕生祭⑤〜
第5章 【現代 平成30年1月31日9時】〜二人の時間〜
戦国時代とか現代じゃなくて……
何より私が居たいのは、家康の側。
そして、
家康のことを大切に思っている……
「帰ろう。皆んなが居る所に……」
ぽふっと、胸に顔を預けた。
手も離したくなくて。
でも、くっ付きたくて。
「なら、戻る前に教えて……」
さっき一瞬だけ浮いたつま先。
今度は、踵が地面から数秒間離れて……
教会の前で重なった二つの影。
どうしてそうなったかは……
心のアルバムにお持ち帰りかな?
(……ん。あれって…!!)
けどお約束のように、
そんな時間は長くは続かなくて……
薄っすら目を開けた瞬間。
グイッ!!
「いっ!!……」
「あ!……停まって下さーい!」
家康の顔を横にズラして、私は手を挙げる。前方から走ってきた一台のタクシー。運転手さんは気づいてくれたみたいで、さっき新郎新婦さんを乗せた高級車が停まっていた場所に停車。
「早く、早くっ!」
私は家康の腕を絡ませ、グイグイ引っ張る。
まだ、未完成のケーキ。不安定なワームホールが出現する前に、仕上げて、安土城に戻って、祝いの宴に届けないと。
特別な日だから。
「はぁ……。何でそんなに落ち着きがないワケ?」
「だって!最後に信長様と……あれ?」
開いたタクシーの扉。
乗り込む前に……
キラキラッ。
地面で何かが光った。
家康もそれに気づいたみたいで……
二つの小さな光。
二人で一緒にしゃがみ込んで。
二人で同じように手を伸ばして。
二人で一つずつ拾う。
「「金平糖?」」
私達は同時に声をあげ、首を傾げる。
(何で、こんな所に……あ!もしかして!)
両端が小さなリボンで結ばれた透明の袋。その中には、赤い金平糖が一粒。
「そっかぁ。さっき、新郎新婦さんが浴びてたの。キャンディシャワーだったんだね!」
「きゃ、ん…え…?」
「キャンディーシャワー!幸せのお裾分けかな?二人の思い出の!ふふっ!京都だからかな?金平糖なんてまるで……」
「……なるほど」
真っ先に浮かんだのは、信長さまの顔。
「「見つけた(ね)」」
私達は、顔を見合わせ笑った。