【イケメン戦国】プレゼントを探せ!〜徳川家康誕生祭⑤〜
第1章 【プロローグ】
一月三日、安土城にて___
信長は秘密軍議と称して、家康以外の織田軍武将と、ひまりを広間に呼び出していた。
スッと襖が開く。
カチャカチャと音を立て、危ない手つきで盆の上に湯呑みを乗せ、広間の中に入ってきたのは三成。その背後から、来る途中に廊下で居合わせた、政宗とひまりが続く。
そして入るなり、
「あれ?家康様はどちらに?」
「何だ?アイツ忘れてんのか?」
(本当……。家康だけがいない)
三人は、家康の姿がないことに気づく。
てっきり、自分よりも先に来ていると思っていたひまり。首をキョロキョロと動かした後、ちょこんといつもの定位置に座った。
「クッ、クッ。三成ではあるまい。それはないだろう」
「……お館様。本日は、どういった用件で」
「揃ったな。ならば、本題に入る。今月末は、家康の誕生日とやらがあるからな。……貴様ら、何か案はあるか?」
上座で脇息に凭れかかり、武将たちに問いかけるのは……
安土城の城主『織田信長』
信長からそう尋ねられ……
何故、この場に家康がいないのかを悟る。しかし、武将たちは案がすぐには浮かばず、揃いも揃って首を傾げ、腕を組み、考え込んでいると……
「その話、俺にも一枚かませていただけませんか?」
何処からか声がしたと思えば、
シュッ!
「皆さん、おめでとうございます。昨年は色々と、お世話になりました。本年もよろしくお願いします」
音を一切立てず、
突如、天井裏から現れた佐助。
ストンと片膝をつき軽やかに床の上に着地。しかしその拍子に、ずれた眼鏡。クイッと中指でフレームを押し上げ、掛け直すと、新年の挨拶を淡々と述べた。
「……新年早々、何の用だ」
大半の者が、目を白黒させる中、
信長は狼狽えもせず、冷静な態度。
「はい。挨拶に伺おうと、天井裏に忍びこんでいました。そしたら皆さんが、家康公の誕生日について話をされていたので。居ても立っても居られず……」
佐助は相変わらずの無表情だが、
どこか落ち着かない様子。