【イケメン戦国】プレゼントを探せ!〜徳川家康誕生祭⑤〜
第5章 【現代 平成30年1月31日9時】〜二人の時間〜
さっきから、女の子グループがヒソヒソ声でちらちら家康の事を見てたのは、気づいていたけど……
(やっぱり、格好良い///)
現代の服装を軽やかに着こなす、整った顔立ちが迫り、いつの間にか、頭がくっ付きそうな距離まで縮まっていて、私の心が自然と大きな鼓動を打つ。
ドキッ……。
(何でこんなにドキドキして///いかにもデートって感じだからかな///)
普段、戦国時代でしているお出かけとは少し違う、お出かけ。スポンジ作りの時に、信長さまに現代の恋人達はどんな風に誕生日を祝うのかと聞かれた時、咄嗟に二人で出掛けたりって答えたけど……
(まさか、本当に誕生日にこうして二人で。しかも現代で苺狩りに出掛けるなんて……本当に夢みたい)
そう思えば思うほど、胸が高鳴る。
(これ、家康に食べて欲しいな)
深紅に輝いた大粒の苺。
誕生日の贈り物は、戦国時代に置いてきたままだから。せめて一番最初に食べる苺を、私が選んだものを食べて欲しいなって思った矢先だった。
何故か……
まだ、一個も食べていない内に。
「……俺のが美味しいけどね」
「私のもきっと、美味しいよ?」
苺の見せ合いっこから、はじまり……
「こっちは粒もくっきりしてて、形良いし」
「こっちも、真っ赤で大きいよっ!」
いつの間にか言い合いみたいになり、
お互い自分の見つけた苺を褒めちぎる。
「……こっち」
「こっち!」
どうしても選んだ苺を食べて欲しくて、無駄に張り合って、意固地になって、じっーと睨めっこしていると……
家康は真ん中に眉を寄せ、口開く。
「さっき、大きさは関係ないって言ってなかった?」
痛い所を突かれ、言い返せなくなり……
うっ……。
私は喉を詰まらせた後……
「そ、それはっ……もう!意地悪っ!」
制服を着てる所為かな?いつもよりついにムキになってしまい……「食べて欲しい」いつもならすぐに出てきそうな言葉が喉の奥でつっかえて出てこない。風船みたいに頬を膨らませ、ツーンといじけた子供みたいに、そっぽを向けば……
視界の先に……
「甘い〜〜」
「な?美味いだろ?」
同じように腰を低く下ろして、苺狩りを楽しむ男女二人の姿が見えた。