【イケメン戦国】プレゼントを探せ!〜徳川家康誕生祭⑤〜
第5章 【現代 平成30年1月31日9時】〜二人の時間〜
ビニールハウスの中___
入り口で農園の人に
ヘタ入れの紙コップを受け取る。
「たくさん食べてってなぁ〜」
土耕栽培の為、苗が低く腰をかがめながらの苺狩り。立ったままの姿勢で苺狩りをする高設栽培とは違い、日頃、農園の方の作業がとても大変そうに思えるけど、それは、味のしっかりした濃い苺を作るためのこだわりだって、パンフレットには載っていた。
あちらこちらから聞こえる「大きいいちごあったよ!」や「すごく甘いね♡」「100個は三人で食べよう!」という声。女の子同士で大きさを見せ合う姿。カップルが肩を並べ微笑む姿。家族で目標をたてる姿。
広々としたビニールハウスの中は、もうキラキラした笑顔が沢山溢れていた。苺の小さな白い花が、こぼれたように咲いているのを見て思わず、ツンと突く。
「可愛い花〜。あ!緑のは、まだ食べちゃだめだよ?」
「それは見たらわかる。……にしても、何か、赤い提灯みたいだね」
私達も早速、苺狩り開始。
屈み込み、苗からぶら下がる真っ赤な苺をまじまじと見つめる家康の横顔。私はその隣で膝を抱えて、喋る。
大きさはあんまり関係なくて、
ヘタが緑色で反っていて、
種を覆うように実が盛り上がってて……
「赤くてツヤツヤなのが甘いんだよ!」
と、パンフレットの受け入りで説明。
「ふーん。……なら、これとか良いんじゃない?」
家康は近くにあった、形の良い苺に優しく触れる。中指とひと差し指で茎を軽く挟みながら、親指で苺を軽く押さえて、そのままスナップをきかせ、摘んだ。
「美味しそう〜〜!綺麗に取れたね!」
「さっき、誰かが狩りかたの説明を受けてる声。聞いてた」
「ふふっ。家康は現代に来ても、家康のまんまだね」
くすくす笑い、
私も負けじと美味しそうな苺を探す。
知識をすぐに吸収してそつなくこなして、「何それ?」って、素っ気ない返事をするのは、戦国時代の家康のまま。
でも……
プチッ……
「見て見て!大っきいの見つけたよ!」
苺を顔近くまで持ち上げて、
首を横に向ければ……
「……良いんじゃない」
現代にいても何も違和感がない、
年相応の素敵な男の子がいた。