【イケメン戦国】プレゼントを探せ!〜徳川家康誕生祭⑤〜
第4章 【現代 平成30年1月31日5時】〜萌の時間〜
やはり、制服とは神秘的。価値観の全く違うはずの戦国武将さえ、魅了してしまう力を秘めていた。
「や、やっぱり変だよね///この歳で高校生の制服なんて……着替えてくるっ!」
くるりと背を向け、唇を噛む。
四人から何の返答もないことに、ひまりは不安を覚える。家康とツアーに行っている間、部屋を勝手に物色しないという条件の元、戦国学園の制服姿を披露することを約束したのだったが……
(皆んな、困ってる……)
まさか自分の姿に魅了され、四人が呆気に取られているなどこれっぽちも思わないひまり。とんだ大恥を晒してしまったと勘違いして、部屋に戻ろうとすると、背後から家康に呼び止められ、振り返る。
「それが良い……」
「え……?」
ぱちくりと瞳を丸くするひまり。
「……その///……その格好可愛いから」
耳まで真っ赤に染め、そうボソッと呟いた家康の言葉を聞き……
「ほ、ほんと?ありがとう///」
ぽっぽっと遅れて同じように耳を赤く染め、はにかみながら頷いた。
互いの顔を見合わせ、
照れ臭そうに微笑み合う二人。
「お前ら、いつまでそうしているつもりだ」
「昼食前にタクシーで戻って来て下さい」
「早く行け」
存分とまではいかないが、ひまりの制服姿に堪能した三人は見かねて、促すように声をかけた。
そして、出発五分前___
京都駅に辿り着いた、家康とひまり。
「……まさか…これに乗るの?」
「うん!バスツアーだからね!」
ツアー客貸切の大型バスを見て、口をあんぐりと開けた家康とは違い、軽い足取りでルンルンとバスのステップ踏むひまり。
「では、今が旬の苺狩りツアー!出発します!」
営業スマイル全開の添乗員の声に合わせ、ゆっくりと動き出したバス。
「………!!!」
ビクッと大きく肩を鳴らして、はっと息を呑み、家康は不意打ちに合ったような驚愕の色を見せる。
(ふふっ。戦国時代の人からしたら、驚くよね)
窓際に座ったひまりはそのリアクションを見て、クスクス笑う。
「……何?」
「何でもないよ?ふふっ……」
家康は拗ねたように口を尖らせ、暫く寝ると言って瞼を落としたが、内心はかなり冷や冷やしていた。