【イケメン戦国】プレゼントを探せ!〜徳川家康誕生祭⑤〜
第3章 【現代 平成30年1月30日14時】〜留守番の時間〜
苺のパックは欲しいが、故意に嘘を付いたような気分になり、さっきまで薄っすらだった申し訳ない気持ちが、急激に胸に込み上がった。
そんな理由から、
表情を曇らせれば……
「そんな顔しないの。……気にしてるんだろうけど。途中で抜けるんだし、昼ごはんの代わりに苺を貰うと思って、少し気を紛らわせたら」
公園で叫び声の事情を粗方聞いた家康は、ひまりの性格を熟知した上で、表情から心境を読み取り、優しい言葉をかけた。
「うん……。そうだね!ありがとう!」
ふわりと咲く花。
(……っとに。可愛過ぎ)
騒いだかと思えば、照れたり。
落ち込んでも、すぐに戻る笑顔。
様々な表情をコロコロと見せるひまりが、家康にとっては堪らなく愛しい。
「お礼なんて。……言わなくて良いから……」
その先の言葉は告げず、
家康は繋いでいた手をやんわり解く。
ドキッ……
高鳴る鼓動を一つ鳴らして、伸びてきた手に、顎を掬われ、誘導されるように、ひまりが上を向けば……
互いの視線がぶつかる。
「家康……」
形のいい唇が震え……
「ひまり……」
吐息のような低い声が擽ぐる。
現代に来て慌ただしく過ぎていた時間。近距離で見つめ合えば……途端に時か止まったように胸を焦がし、甘い雰囲気を漂わせた二人。
瞼が同時に落ちたのは……
ごく自然の行動。
しかし……
唇が重なる寸前。
バタンッ!
「家康!大概にしろっ!」
そんな甘ったるい空気を奈落の底に落としたのは、退屈果てた信長。部屋の中から二人の気配を感じ取り、タイミングを見計らったように扉を開け、ご立腹で仁王立ち。
「の、の、の、信長さまっ///」
「…い、ま…良いっ…ところでっ!あんた、一体!何がしたいわけ!」
「お、落ち着いて家康!信長さま、ずっとお留守番してくれたんだからっ……ね?ね?」
声も拳も震わせ、不機嫌オーラ全開で、安土城主に噛み付く家康。それを隣から腕を絡ませ、必死に止めるひまり。