【イケメン戦国】プレゼントを探せ!〜徳川家康誕生祭⑤〜
第3章 【現代 平成30年1月30日14時】〜留守番の時間〜
夕方を意識するには、
まだ少し早い時間帯___
聳え立つタワーマンション前。
その下にある地面のアスファルトで、
くっ付いた二つの影。
まさか留守番をしている間、信長達がそんな作戦を立てていることなどは露知らず、近所のスーパーで晩御飯のカレーの材料を買い込み、昼間とは違い、今度はスーパーの袋を真ん中で一緒に持って、自宅へと戻ってきた家康とひまり。
玄関先で腰を少し丸めた背中を見つけ、
ひまりは大きく口を開け、声を掛けた。
「ただいま!」
「おやぁ~……おかえり。仲良ぅ買い物行ってきたん?ええなぁ~まるで新婚さんみたいにみえるし~」
「……しんこんさん?」
「お、おじさんっ///」
清掃をしていた管理人と出くわした、二人。家康はまた新たに出て来た用語に眉を潜める横で、ひまりは顔を真っ赤に染め上げ、爆発しそうな焦操を覚えた。熱を帯びた頬を冷ますように片方だけ包み、一人おろおろする。
そんな正反対な二人の反応に、はて?と、管理人は手に持っていた柄の長い草箒立てたまま、首を傾げたが……すぐに目尻に柔らかい皺を刻み、微笑んだ。
管理人に会釈だけして、
マンションの中に入った途端……
「『しんこん』って、どういう意味? 」
すかさず、家康は尋ねる。
「えっ///えっと///そ、それは……そ、の……///け、けっこん…じゃなくて、えっと祝言をあげて…間がなくて…ほ、…やほや…って意味で……///」
聞かれるだろう。そう予感はしていたが気恥ずかしさから、ごにょごにょと言葉を濁すひまり。
(ほやほや?多分、蜜月の時のことっぽいね)
歩きながら、家康はそう理解。
部屋へと足を進める二人。しかし、ひまりの足取りは徐々に重いものに変わる。
(良いのかな……。やっぱりちゃんと連絡して……)
先程、旅行代理店では学生だと認識され、管理人には新婚みたいだと言われ、一体自分達はどんな風に見られているのかと、こうなってくると少々、不安に似たモノが生まれてくる。
もやつく心。
いくら知らなかったとは言え、真っ直ぐな性格のひまり。学生でもないのに金額は割引され、その上特典付きで、ツアーを申し込んでしまった事実は心苦しい。