【イケメン戦国】プレゼントを探せ!〜徳川家康誕生祭⑤〜
第3章 【現代 平成30年1月30日14時】〜留守番の時間〜
ちょうどタイミングを見計らったように、テレビ画面に流れた映像。
昼ドラの特徴でもあるドロドロの愛憎劇。家の都合で引き裂かれ嘆き悲しんだ後、それでも純粋な愛を貫こうと、学生服に身を包んだ年頃の男女が、公園のベンチ前で抱擁するシーンだった。
「ひまりさんの制服姿。ぜひ、拝みたかったですね」
「……『せいふく』だと?」
心の声をついぽろりと漏らした佐助。その言葉にピクリと反応したのは信長。それもその筈、昼間にクローゼットから、中身の見えない状態でひまりの「制服」を見つけていたのだ。
長い時間、凭れかかっていたソファーのサイドから、ムクリと身体を起き上がらせ、佐助に視線を移す。
「この女性が着ている衣装です」
佐助は学校によって制服のデザインはさまざまであり、一概にも同じではないと説明した上で、以前にひまりの通っていた高校名を聞いていた為、制服のデザインは知っていた。
「色味は少し違いますが……。形は似ています」
「ほぉ……。脚がほぼ丸出しではないか」
信長はクローゼットで見つけた物の中身を、意外な所から知り、さっきまで全く興味を持たずただ目に入れていた画面を、今度は食い入るように見つめ……
「存分に拝むとするか」
ニヤリと微笑を浮かべた。
「くくくっ。それを着たひまりを見て、家康があたふためく姿が目に浮かぶな」
「ただ問題が一つあります」
眼鏡をクイッと持ち上げた佐助。
クローゼットの中に制服があることは、信長から聞き知ったが……いきなり制服を着ろと命じて、すんなりひまりが着るとは思えないと話す。恥ずかしがって、必死に顔の前で手を振り、無理だと連呼する姿を予想。
「家康が喜ぶとでも言っておけば、問題はなさそうだが」
「それでは、家康公だけに披露される場合があります」
自分達も可憐な姿を拝みたい。
「ならば、どうする……」
シャープな顎の先を片手で擦り、
信長は佐助に問い掛ける。