【イケメン戦国】プレゼントを探せ!〜徳川家康誕生祭⑤〜
第3章 【現代 平成30年1月30日14時】〜留守番の時間〜
14時を回った頃___
小鳥の声がしきりに耳をつつく。
近所の人影まばらな公園。
少し古びた木製ベンチで腰掛け、仲睦まじく、おにぎりを食べていた家康とひまりの二人。苺狩りのカラフルなパンフレットを目で追い、ツアー日程を確認していた。
そして、佐助が言っていた『ある特典』が学生限定だったことを知ったひまり。
雷の衝撃が落ちたかのように。わなわなとパンフレットを持っていた手を震わせた、次の瞬間。
「もうーっ!佐助くーんっ!」
固い地面をチョンチョンと、クチバシで小突いていた数羽の小鳥が……
ひまりの叫び声を聞いて、羽を広げパタパタと一斉に空に飛び立った。
その同時刻___
部屋で待機していた三人。
既におにぎりを食べ終わり、液晶テレビで昼ドラを見ながら寛いでいた。
(ん?今、ひまりさんに呼ばれたような……)
ふとそんな不思議な感覚に襲われ、クイッと中指で眼鏡を押し上げながら、部屋をキョロキョロと見回す。ベランダを出入りする大窓に最後視線を向けた後、何事もなかったかのように、おかきをバリッ、ボリッと歯で噛み砕く。
「にしても、この狭さはやはり寛げぬ。どうにかしろ、佐助」
「流石に、部屋の広さを変える術はありません。それよりも、一つ如何です?」
二人掛けのソファーを一人で陣取り、不満をぶつける信長。そんな無茶ぶりを佐助はサラッと交わして、袋を差し出す。それは、手渡されたコンビニ袋の中に入っていた、しょうゆ味のおかき。
ひまりがおやつにと、
昼食と一緒に購入した物だった。
「それにしても、あの二人遅いな」
「昼食を持っていかれたので、近場の公園か何処かで食べているのでしょう」
光秀のぼやきに似た台詞に、佐助は瞬時に答える。現代にありがちなデート。ベンチに腰掛け、笑い合う二人の姿を思い浮かべ……
(実に平和だ……)
目尻を指先で押した。