【イケメン戦国】プレゼントを探せ!〜徳川家康誕生祭⑤〜
第2章 【現代 平成30年1月30日12時】〜はじまりの時間〜
横断歩道の前で赤い点灯を見て、
私は忙しく足踏み。
「その『りょこうがいしゃ』って、何する所?」
「旅行会社って、言うのは……えっと。素敵な旅を提供、提案してくれる場所かな?」
「へぇ……。なるほど」
私と違って全く呼吸を乱していない家康。すぐに理解したようで、一緒に青信号になった横断歩道を渡る。停車している車に興味を示し、好奇心旺盛な様子を垣間に見せていた。
駆け込むように、自動扉を潜り……
「ちょうど二名さま分、空きがございます。早速、お席取らせて頂きますね」
「あのっ!ある特典で、苺が1パック付いてくると、聞いたのですがっ……」
肝心なことだけは、
ちゃんと聞いておかないと。
すると、店員さんは何故か私と家康の顔を交互でじっと見る。その数秒後……にっこりと笑った。
「本来ならば、提示をお願いする所ですが……今回は時間がないので、特別に対応させて頂きますね」
パソコンに、
手早く打ち込む姿が見えた。
(良かった〜。これで、ケーキが完成できる)
溢れた笑み。
運良く滑り込みで翌日出発の、苺狩り日帰りツアーに参加できることになった。
店舗を後にして……
白い封筒から
取り出す一枚の紙。
1月31日、午前8時。
京都駅発着の日帰りバスツアー。
『1月から5月が旬!
イチゴ狩りシーズン到来!』
真っ赤な旬の苺を食べ尽くそう!
日程表を見ながら、
心をうきうきと躍らせる。
「……さっきからニヤケすぎ」
「だって、嬉しいんだもん」
自然と浮き立つ足取り。
公園のベンチでおにぎり一緒に食べながら、日程表とパンフレットを一緒に眺め……
パンフレットに載った苺の写真。
私は、指を滑らせながら説明。
「これが苺?真っ赤……」
「うん!甘くてみずみずしくて、美味しいの!品種によって、ちょっと違うんだけどね。他に、ピンク色のもあったり、白い…の…も……」
そして、ある文字に気づき……
語尾がだんだんと小さくなり……
指が震えだす。
『学割特典!今なら、学生カップル限定でおひとり様、苺1パックサービス!』
その見出しを見て……
私は仰天したような声を、
口の中で上げた。