【イケメン戦国】プレゼントを探せ!〜徳川家康誕生祭⑤〜
第2章 【現代 平成30年1月30日12時】〜はじまりの時間〜
くるりと反転して背を向け、
走り出そうとした時……
「家康、ひまり」
光秀さんに呼び止められて、
振り返ると……
「信長さまが用意した宝。
二人でしっかり見つけろ」
それだけ告げて、いつものように喉奥を転がし微笑を浮かべた。
「「宝??」」
家康と私は同時に声を出して、
顔を見合わせる。
(宝って、ケーキの材料だから……苺のことだよね?あれ?でも、別に探すわけでもないし、謎々でもないから……うーん??)
今までの材料を集めを思い出しながら、あれこれ考え、特に「信長さまが用意した」って、言葉が一番引っかかり、顎に人差し指をつけて、ん?ん?と、悩みながら頭を左右に傾けていると……
突然身体が横に引っ張られて……
「考えるのは後。ほら、道案内して」
「あ、うん。では、いってきます!」
隣に立っていた家康に先を急かされ、佐助くんと光秀さんに、今度は私達が見送られながら、早々とその場を離れた。
煉瓦模様の歩道を小走り。
辿り着いたのは、京都市街某所。
市内は碁盤の目状に道が走り、周りにある建造物の高さが低く抑えられていて見渡しが良い。歴史がある街並みや、景観が大切にされ建物の高さや立ち方、色まで溶け込むようになっている。
「はぁ、はっ、……え、っ、と…旅行会社の代理店は確か、この辺りに……あ!あそこだよ!」
息を切らしながら、パンフレットの裏面に記載された、店舗名を確認して、腕をピッと前に突き出す。
指をさした先。
縦に細長い鉄筋ビル。その一階部分に、横文字の店名が書かれた、小さな店舗。大きさと見た目は、一見、さっきコンビニの雰囲気に似ている。入り口には、店名のぼりが二本立てられ、外には、スチール製のラックが数台。
そこには目を引くような色とりどりの、パンフレットが陳列してあるのが、遠目で見えた。