【イケメン戦国】プレゼントを探せ!〜徳川家康誕生祭⑤〜
第2章 【現代 平成30年1月30日12時】〜はじまりの時間〜
信長さまは香りを愉しむように、カップに鼻を近づけた後、優雅な仕草でコーヒーを口に運ぶ。どんな反応をされるのか予想出来なくて、つい視線を縫い付けてしまう。
(お口に合うかな?)
ゴクッと、微かな喉の音がした後。
「……なかなか、イケるではないか」
「本当ですか?良かったぁ」
私は胸の前で手を交差して、
ホッと安堵をの息を漏らす。
程よい酸味、苦味、まろやかな舌触り。
そこが気に入った。と、信長さまの頬に軽く微笑が浮かぶのを見て、私もにっこりと笑顔を返した。
本当はもっと、本格的にコーヒー豆を挽いたり、簡単な器具で抽出したドリップコーヒーもあり、それだとまた違う味わいや香りになることを話す。
「淹れ方一つで変わるのか。それは面白い」
「私、普段からあまりコーヒーを飲まなくて。だから、本格的な器具がなくて。もっとちゃんとした物を出せたら、良かったのに……」
少し残念に思い、肩を落とせば
ふわっと頬に温かい手が添えられ……
「これで十分だ。……それより、家康にも早く出してやれ。後ろで拗ねておるからな」
え……?
その言葉にキョトンして、テーブルの前に座る家康に、目線を動かす。
すると目がバチッと合った瞬間、
「べ、別に拗ねてないし」
ぶっきら棒にそう答えて、家康はパッと視線を私から横に逸らした。
(何で拗ねて……あ!そっか!)
くるりとテーブルに戻り、色違いの花柄マグカップの一つ。ホット生姜が入った、緑色のほうをそっと手渡す。
「家康も喉乾いてたよね。気づかなくて、ごめんね?」
「はぁ……。そっち。まぁ、良いけど。……ありがとう」
「くっ。ひまりの鈍さは、どの時代に来ても変わらんな。……家康のは何が入っておる?」
家康は、何で溜息を吐いたんだろう?
ん?と、首を傾げつつ……二人に、ホット生姜を簡単に説明。レモンを加えても美味しいけど、今回は原液をお湯で割っただけの簡単な飲み物。
健康志向の家康には、ぴったりかなと思って選んだ。市販の原液は、はちみつ入りだからちょっと甘いかもしれない。でも、生姜があれば出来るから気に入って貰えたら、戦国時代でも作ってあげれる。