第3章 木の葉に馬鹿を突っ込めば
「……おい…」
朝一で持ち山の見廻りに行って帰って来たシカマルは、朝餉の卓を囲むメンバーを見渡して眉を顰めた。
両親は当然、昨夜から居座っている伊草も仕方ない、ネジとヒナタが居るのは解せないが何か用でもあるのだろうと思えば納得出来なくもない。
しかし、伊草とヒナタに挟まれて雑炊を啜っている眼鏡の髷。コイツがいるのがわからない。
「何でアンタがいきなりうちで飯食ってんだ、牡蠣殻さん」
「おや、おはようございます。お久し振りですね。お元気そうで何より。朝からお仕事お疲れ様です。お先に頂いていましたよ」
「ちょ…待て。立て板に水で挨拶と社交辞令を垂れ流さねぇでくんねぇですか。どっから返していいかわからなくな…」
「あー、いいんですよ、返事なんか。お気遣い無用です。どうせ心にもない建て前なんですから」
「…大人はそういう事言っちゃ駄目だろ」
「いやいや。子供だって駄目ですよ、こういう事言っちゃ」
「なら黙ってろって。…アンタ全然変わんねぇな…」
呆れ顔で言って、シカマルはハッと目を見開いてバッと左右を見回した。
「おい、アンタが来たって事はまさか汐田まで…」
「汐田とは一時お前と連んでいた磯の女の事か?ソイツが来ると何かまずいのか?キョロキョロするな。みっともない。大人しく座って飯を食え。旨い雑炊だぞ。朝生みの玉子がまたよく合う…」
ネジにしたり顔で嗜められて、シカマルは眉を跳ね上げた。
「人ンちで朝飯食いながら偉そうにしてんじゃねぇぞ、ネジ。一体何やってんだ、ヒナタまで巻き込んで」
「…何でいきなり俺が巻き込んだと決め付けるんだ、お前は。俺はむしろ巻き込まれた側だぞ」
「汐田さんは居ませんよ。残念でしたね。何なら呼びましょうか?今何処に居るんです、汐田さん?」
のんびりといい加減な事を言う牡蠣殻に、シカマルは目を三角にした。
「居場所も知らねえでシラッと呼ぶとか言うな…てか、呼んで要らん。呼ばねぇでいいからな!?むしろ絶対呼ぶな!!アイツが現れると色んな事がややこしくなる」
「そうですか。目の色を変えて探してらっしゃるから余程会いたいのかと思いましたよ」
「それ凄い誤解だからな。いいか。勘違いしたまま訳分かんねぇ事あちこちで言い出したりしな…」