第1章 嫌よ嫌よも好きのうち(灰羽リエーフ)
中学まではバレーボールをやっていて、本当なら推薦で強豪校に行ける筈だったのに。
中学最後の試合で、足を壊した。
お陰で、推薦は取り消し。
怪我は治ったけど、諦め半分で入った学校でバレーを続ける気にはならず。
でも、バレーボール自体はやっぱり好きで。
女子の練習を見ていると悔しくなるから、男子バレーボール部の見学をしていた。
そこで、見つけたソイツ。
第一印象、ヘタクソ。
恵まれた身長だとか、スポーツのセンスってやつだけで、なんとかやっているのが見てるだけで分かる。
チーム競技なんだからチームワークが良ければ構わないのだけど。
個々の能力が高いに越した事はない。
いくら、身長っていう武器を持ってても、アレじゃ使い物にならない。
そんな、ダメなコ程気になってしまって…。
練習の見学に行く度に、彼、灰羽リエーフを目で追うようになっていた。
そうやって、何回も練習を見に行っている内に、私の顔は部員に周知されてしまう事になる。
よく見学に行くから、暇だと思われたのか、手伝いを頼まれてしまう異常事態まで発生した。
バレーボールから逃げたい訳じゃない。
関わるなら、選手として関わりたい。
だけど、女子の見学すら出来ないのに、コートに戻る夢なんか見たって叶う訳がない。
そんなモヤモヤを、ずっと抱えていた。