第3章 カテキョの代金‐ハイキュー!!冬休み企画!‐
鉄朗は、確か私より成績が良かった筈だ。
少なくとも、数学においては、一瞬見ただけで間違いを指摘出来るレベルではある。
こうやって、気にしてくれるくらいなんだから、頼ってみてもいいかも知れない。
「…あの、さ」
「ダメですー」
「まだ何も言ってない!」
「教えたまま暗記すんじゃ、数学は意味ねぇだろ。応用きかなくなるしな」
教えてくれと言う前に断られて、イラッとする。
だけど、言いたい事は先読みされてて、理由を加えられたらぐうの音も出ない。
「ま、ちゃこが自分で解いて、間違ってたら指摘して、ヒントやるくらいはしてやるけど?」
それでも、案外世話焼きなところがあるから、完全に見放された訳じゃなかった。
「俺のカテキョ代は高いぜ?」
でも、こんな事を付け足されたら、感謝する気も失せた。
「彼女から金取る気?それならいい」
冷たく言い返して、ノートにシャープペンシルを走らせる。
「そこ、違う。これなら、使う公式は…」
「お金、払わないよ」
「こっちの使って解くんだよ。お前、例題読んでねぇだろ」
また間違っていたみたいで、横やりが入る。
話を聞かないように遮ったけど、向こうも聞いてくれる気がないようだ。
シャープペンシルを奪われ、勝手に参考書に丸を付けて公式を示された。