第1章 幼き日に
私がいきなり大きな声をあげるものだから、メロは三白眼を丸くした
「どうした」
「今日、3時からマットと会う約束だったよね?やっばい!あと5分しかないよ」
時計を差す私の指先をメロは目線で辿ると、
「おっ、やっべぇな」
と、口だけで、とても焦っているようには見えない様子でつぶやいた
「おっ、やっべぇなじゃないよ!マットを待たせちゃ悪いでしょう⁉」
慌ててベッドから飛び退き、支度をはじめる
そんな私をまじまじと観察しながら、メロがぼそりと、
「マットの馬鹿」と、言ったのを私は聞き逃さなかった
マットは全然悪くないんじゃないかしら
しかし、そのことについて言及する時間はないと気づかないほど私は馬鹿じゃない
「ほら、メロも支度してよー!」
私が促すと、メロはしぶしぶ趣味のいいカラス色のジャケットを羽織る
支度をし終え、メロより先に玄関を出ようとする私は、彼に壁に追いやられた
そして、
「続きは帰ってからだな」
と私の耳元で吐息混じりにつぶやかれる
私の身体はピクンと反応し、頬はまた熱を帯びるのだった_
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