• テキストサイズ

幻影の花唄【ONE PIECE 】

第2章 後編



診療所の鍵を閉めて帰り道を歩いていると、携帯型の電伝虫が鳴った。

「久しぶりだな、ロー。元気にしているか?」

電話の相手がコラソンだと分かると、ローは受話器を取った。

あの海軍本部でビブルカードを唯一渡していた人物。
コラソンだけは、ローが生きていることを知っていた。

だから偶にこうして電話してくる日があるのだ。

「毎日相変わらずだ。特に今の時期はウイルスが多いからな」

「ははっ、そりゃお前の仕事だから頑張れよ」

「言われなくてもちゃんとやってるさ」

ローの穏やかな声を聞いて、コラソンは少し安堵の息を漏らした。

一時期はどうなるかと思っていたが、彼は無事に回復してくれているようだ。
あのロボットには悪いことをしてしまったが、本当に感謝をしていた。

あれからロボットはどうなったかは聞いてない。
何となく聞きづらい気持ちがあったのだ。

だから、ローから話さない限り聞かないでおくことにしたのだ。










「あぁ、そうだ」

コラソンがローの話を聞きながら物思いに耽っていると、何かを思い出したように彼が言葉を発した。

「最近、コーヒーが旨いんだ」

何の話かと思えば、ただの世間話だった。

彼はコーヒが好きだっただろうか?

コラソンは過去の記憶を辿りながら首を傾げていた。

「だから、何かおすすめがあれば教えてくれ」

「…分かった、色々探してみるよ。疲れている時はコーヒー飲むと落ち着くだろ」

ローの言葉にコラソンはこれ以上考えるのをやめた。

彼とて特に深い意味はないのだろう。

コラソンはさっそくおすすめのコーヒー一覧を、頭の中で思い浮かべていた。






そして近々コーヒーをそちらに送ると言って、その日の会話は終了した。



/ 89ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp