第2章 後編
だけど、そんなローの状態を、何時までも上層部が許すわけがない。
使えないのならば排除する。それがこの世界ではよくある光景だ。
先ほどコラソンから電話で伝えられた内容は、ローを始末する為に海軍がこちらに向かっているというものだった。
中将という立場は色々な情報を知っているだけあって、従えないのなら始末するしかないのだろう。
だからコラソンはローの願いを叶えて正気に戻し、その場から逃げてくれるのを願っていたのだ。
ローが死にたがっていたとは勿論知らない。
「いいですか、落ち着いて聞いてください」
ユーリはローの背中を優しく撫でながら、話しかける。
流石にもう暴れなかったが、未だに彼は混乱しているようだった。
彼が落ち着くまで待っていたかったが、そんな悠長なことも言ってられない。
「あなたに伝えなければならないことがあるんです。彼女の……」
バンッ!!
「おい!!いたぞ!!こっちだ!!!」
張り上げるような声にユーリは慌てて視線を向ける。
ボロボロの扉を叩き割るように入ってきた海兵達は、すぐに2人を拘束した。
僅かに聞こえていた足音に、ユーリは焦ってはいたが、どうやら間に合わなかったようだ。
2人は引き離され、ローはどこかへと連れていかれてしまった。
そんな彼にユーリは手を伸ばすが、それが届くことはなかった。