第1章 前編
「……っ!!」
ローが目を覚ますと、まだ夜が明けてないのか部屋の中は暗かった。
ゆっくりと視線が、部屋の中を彷徨う。
荒くなった呼吸、真冬なのに流れ落ちた汗にローは舌打ちをした。
そして額から流れ落ちる汗を拭おうとした時、右手に違和感を感じた。
いつの間にか繋げられていたその手。
ロボットである彼女は、まだ眠っているようだった。
ローは荒くなった呼吸を整えると、そっとその手を外した。
凍えるほど冷たかった彼女。
流石のローも心が揺れたので、あの後部屋の中へ招き入れた。
そしたら今度は、ソファーに座って見張ってますねと言う彼女に痺れを切らし、気がつけば一緒に寝ることになっていた。
繋がれていた手は暖かった。
恐らくローが無意識に掴んだんだろう。
彼はそっとため息を吐いた。
このロボットをどうするべきか、なぜ自分がここに残っているのか、分からない。
心の整理がつかないまま、彼はこの場所に囚われ続けている。
夢の中に出てくる彼女。
向けられたその瞳を忘れることなど、彼にはできなかった。