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駄犬になつかれて

第17章 甘い香りに誘われて


〜犬夜side〜

「おはよー」

「おう、おはよ」

クラスメイトと挨拶をかわし、オレは席につく。

「ねぇねぇ、犬夜くん!これ!どうぞ〜」

と言われ渡されたのは、透明な袋に包まれたチョコレート。

「え?」

「今日バレンタインでしょ?だから、チョコレート!」

「いや、オレは彼女いるし、別に…」

「まぁまぁ、そう言わずにさ!義理チョコだよ義理チョコ!」

と言われ、グイグイと押し付けられる。
こうなっては断ることも難しそうだ。

「だ、だから、彼女いるんだって…」

「義理チョコだから!大丈夫!」

何が大丈夫なんだろう。
オレは貰っても嬉しくなんかないのに。

「あ、あやっち、おはよー!」

そう言って、クラスメイトの女子は友人の方へと去った。

「…え…」

机の上に強引に置かれたチョコ。
捨てるなんてもったいないし…
貰うしかないのだろうか。

「…はぁ」

大きなため息をついていると、後ろから声をかけられる。

「けんけ〜ん」

このあだ名で呼んでくるのは遊吾だ。

「いやぁ、モテる男はつらいねぇ…」

「別にオレモテてないし。」

「ま、俺はけんけんなんか比にならないぐらい貰ってるけどね〜」

そう言ってドヤ顔をする遊吾。

「良かったじゃん」

「だろー?ま、義理ばっかなんだけどな」

そう言ってあからさまに落ち込んでいる。

「ってか、お前さ、先輩ちゃんからチョコ貰ってねえの?」

「しっかり貰ったよ」

「おおお!どーだったよ?」

「まだ食べてない」

「えーー。じゃあさ、昼休み食おうぜ!」

「お前には食べさせないよ」

すると優吾は笑いながら、

「わーってるよ」

と言った。
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