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駄犬になつかれて

第11章 今度こそ


〜犬夜side〜

「まだかなー」

集合時間の10時をとっくに過ぎているが、先輩はまだ来ない。

スマホにも連絡をしてみるが、全く反応がない。

ドタキャン!?…なわけないか…?
もしそうだとしても、先輩のことだし、なにか理由があるはずだよな…

「とりあえず、待つか…」

近くにあったベンチに座って待ってみる。

しばらくして、遠くの方から、先輩が走ってきた。

「あ、せんぱーーいっ!!!」

オレは先輩に向かって思いっきり手を振った。

そして、先輩はオレのところまで走ってきた。
すると、申し訳なさそうな顔をして、

「…っ、遅れて、はぁ、ごめん、ね…」

と言った。
とても息が上がっていた。

急いで来てくれたんだなぁと思いながらも、

「なんで遅刻したんですかー?」

と少し意地悪な質問をしてみる。

「えっと、寝坊、しちゃって…本当にごめんね…」

「そうですか…」

オレは少し悲しそうな顔をして言った。

「ご、ごめんね…本当にごめんね…」

と、何度も謝る先輩。
少し罪悪感を覚える。
だけど、先輩が、

「本当にごめんね…犬夜くんが許してくれるならなんでもするから…」

なんて言うから。

「じゃあ…先輩、キスしてください」

ダメだよ、先輩。なんでもするなんて言っちゃあ。

「わ、わかった…」

先輩が意を決して、オレに近づいてくる。
先輩からのキスは初めてだなあなんて思っていた。

目をつぶり、顔を真っ赤にしながら、顔を近づけてくる先輩。

そっと唇が触れる。

「…っ、こっ、これでいい…?」

「もういっかい」

そう言ってオレは先輩の唇を奪う。

「んんっ…!」

「へへっ、ごちそうさまです、先輩っ」

耳まで真っ赤にしている先輩を見ていると、こっちまで恥ずかしくなってくる。

「とりあえず、行きましょう」

「うえっ、あっ、う、うん」

「先輩?」

「ごごごごめんね、は、恥ずかしくて…」

先輩がバグった。
じゃなくて。

「先輩からのキス嬉しかったですよ?」

「〜〜っ、言わなくていいからっ!」

先輩の反応が可愛いからつい意地悪したくなる。
ま、意地悪はこれぐらいにして。

「先輩、手繋ぎましょ?」

「う、うんっ」

「じゃあ行きましょう!」
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