イケメン戦国『プレゼントを探せ!~徳川家康誕生祭~①』
第5章 プレゼントを探せ!~三十日、辰の刻~
「おめでとうございます。家康さん、陽菜さん。指令を見事突破し、秀吉さんたちより、先に立て札に触れましたので、お二人の勝ちです。」
「へ?」
佐助の声に、ぱちっと目を開ける陽菜。
そして家康は、陽菜が目を開ける前に、顔を離していて……
「やっと終わった……」
立て札に触れたまま、首を左右に倒して、ポキポキ音を鳴らしていた。
「間に合わなかったか。」
「残念。負けちゃったね。」
「へ?」
手を繋いで、池の方から走ってきた秀吉と香菜を見て、陽菜は辺りをキョロキョロと見渡すと……
「あ……(いつの間に……)」
ようやく自分が立て札の前に立っているのだと気づいた陽菜。
少し遅れて、秀吉たちが、立て札にタッチする。
「陽菜、面白かった?」
「うん!すっごく!」
「俺たちも面白かったぞ。滅多に見れない家康の姿を見れたしな。」
「そうですか……俺は二度とごめんです。」
四人が、この対決の感想を言い合っていると……
「家康さん、陽菜さん、おめでとうございます。では、こちらの牛乳を……」
その声に反応して、四人は佐助へと顔を向けると、大事そうに牛乳がたっぷり入った瓶を持つ佐助。
牛乳を見て、嬉しそうに笑みをこぼす陽菜。
牛乳を受け取ろうと、家康は手を出すと
「無事に最後の指令を突破したら、お渡しします。」
「「へ?」」
佐助の言葉に間抜けな声を出す二人。それを見て、佐助は立て札をひっくり返して、裏側部分を家康と陽菜に見せた。
そこには
【勝った恋仲二人への、最後の指令。
三回まわって、『ワン!』と言え。
これが出来たら、牛乳を手に入れることができる】
こう書かれていた。