イケメン戦国『プレゼントを探せ!~徳川家康誕生祭~①』
第5章 プレゼントを探せ!~三十日、辰の刻~
「い、家康っ!癇癪玉降ってきたっ!!」
陽菜の焦った声に、顔を少し上げると……
ヒュゥゥゥ………
「げっ……!…なんでこっちに向かって……」
正直、石の上を走っているから、滑って池にでも落ちたら、寒い季節……完全に風邪をひく。それだけでなく不安定な石の上で全力で走れていないのに……
だが、癇癪玉が池にでも落ちて、その衝撃で水しぶきを陽菜が浴びて、濡れて風邪でもひいたら……
それだけはさせるわけにはいかないと、俺は足を速める。
すると………
バァァン!
癇癪玉が落ち、その衝撃で割れた……
カシャン…!カシャ……シャ……
……ポチャンっ…ポチャンっ……
「「…………」」
「あ……外してしまいました。」
癇癪玉が落ちたのだが、落ちた先は石の上。
しかも、割れかたが派手ではなかったため、まきびしは大して飛び出さず、地面に数個、池に数個、落ちただけだった。
「おかしいな……接合部分が甘かったのかな……」
佐助は割れた癇癪玉を見ながら、ぶつぶつ何かを言っていて……
「俺たちも、家康の真似して、石の上を歩くか。」
秀吉さんと香菜も、ゆっくりと石の上に上がって、歩き出す。
「(とりあえず、俺も橋まで行くか……)」
ここで陽菜を降ろすのは危険だから、橋までの短い距離を歩き、橋に到着すると、俺は陽菜を降ろした。