イケメン戦国『プレゼントを探せ!~徳川家康誕生祭~①』
第5章 プレゼントを探せ!~三十日、辰の刻~
「俺特製、普通の癇癪玉とまきびし入り癇癪玉です。癇癪玉が割れた途端、まきびし入りの方は、中のまきびしが、四方八方に飛び散りますので、その攻撃から彼女を守ってください。」
説明しながら、癇癪玉を四人めがけて投げてくる佐助。
バァァン!
「んなもん作るな!!」
「ひ、秀吉さっ……は、速い……!」
手を繋いで、その癇癪玉から逃げる秀吉と香菜
バァァン!
「陽菜!俺たちも行くよ!」
「わわっ!?ま、待って!」
家康も陽菜の手をとり、一目散に走り出す。
今のところ、まきびしが飛び出してきていないため、佐助が投げているのは、どれも普通の癇癪玉。
だが、その内、まきびし入りが飛んでくる。
その前にとっとと、立て札まで走りきればいいだけのこと。と、秀吉と家康は思っていた
のだが……
「きゃっ!?」
「香菜!」
「陽菜、足元気を付けて……」
「う、うん……わっ!危な……」
池の周りを四分の三ほど走りきり、残り四分の一というところで、四人は穴だらけゾーンに突入。
穴と穴との隙間が狭いため、かなりゆっくりしたスピードで進んでいる。
実はこの穴、佐助が前日に掘ったもの。掘った穴の上に土を被せ、二組が最初の指令をやり終えて、走り出したときに、少量の火薬を、時限爆弾みたいに設置して、爆発音を癇癪玉でかき消していた。
どこまでも抜かりない男。
そして、その抜かりない男は、後ろからは、癇癪玉を持って、四人を追いかける。
「(にしても、よくこれだけ穴だらけにしたな……)」
穴だらけの地面を見て、家康は、心のなかで、関心と呆れの気持ちを半分ずつ抱いた。
そして、地面を見て、あることに気づき、立ち止まる
「……家康?……どうしたの…?」
前を歩いていた家康が、立ち止まったことに、陽菜は首を傾げて家康に尋ねる。
陽菜の声に、家康はくるっと身体事、陽菜に向けると……