イケメン戦国『プレゼントを探せ!~徳川家康誕生祭~①』
第5章 プレゼントを探せ!~三十日、辰の刻~
「「………」」
「あれ?二人ともどうしました。無事に最初の指令、突破ですよ?」
「……いや、何でもない。」
佐助の声で一気に現状に戻される。
今は、宝探し中で、秀吉さんたちと対決中だと。
「陽菜、行くよ。」
「わっ!?うんっ!!」
陽菜の顔は、うっすら赤いが、指令をしたときより、幾分落ち着いている。
陽菜の手を引っ張り、急いで橋を渡りきって、秀吉さんたちの後を追う。
香菜が指令をやり終えて、すぐに陽菜がしたから、この距離なら直に追い付くだろう。
「おっ!もう来たか。」
「え?…わ!二人とも、速い!」
前を走っていた秀吉さんと香菜が、俺たちの方へと振り向き、言葉をこぼす。
「やるからには勝ちたいんで。それより前向いてないと危ないですよ。」
「お、随分余裕だな。まぁ、転けたりするヘマはしな……!?」
「っ!?きゃあ!!」
走っていると、急に、秀吉さんと香菜の姿が消え、陽菜と俺は急いで足を止めると………
「っ!?秀吉さん!!」
「お姉ちゃん!?」
ぽっかりと大きな穴が地面に現れ、陽菜と覗きこむと……
「痛っ…てーー……」
「…痛たた……」
穴に落ちた秀吉さんと香菜がいた。
「あー……間に合いませんでしたか……」
頭上から聞こえた佐助の声に、顔をあげると、木の枝の上に座っている佐助。
「佐助くん……あの、この落とし穴……」
「まぁ、罠だね。秀吉さん、香菜さん。後で助けるので、今はそのまま聞いてください。次の指令を言います。」
「今、助けろよ!」
秀吉さんの声を無視して、佐助は木の枝から華麗に飛び降りると、先程と同じように、懐から一通の文を取り出し広げ……
「次の指令は、
『彼女をあらゆるものから守り、橋に到着すること』
です。」