イケメン戦国『プレゼントを探せ!~徳川家康誕生祭~①』
第5章 プレゼントを探せ!~三十日、辰の刻~
「ほら。家康も早く陽菜と手を繋げ。」
「………わかってますけど……」
今まで、陽菜と手を繋ぐときは、人気も少ない場所や時間帯。
ましてや、手を繋いでいるところを、織田軍の誰かに見られたりしたら、揶揄われるのは確実。だから城下で繋ぐのも極力控えていたのに……
「(なんで今、人前で繋がないといけないんだよ……)」
ぶつくさと心の中で文句を言っていると……
ぎゅっ……
「っ……!?」
自分の左手の薬指と小指が、柔らかい温もりに包まれ、思わず左手を見ると……
「……ちょっと恥ずかしいけど、決まりみたいだし…///」
頬をうっすらと赤色に染めて、恥ずかしそうに微笑んで、ちらっと上目使いで見てくる陽菜。
その姿に俺の心臓は、すぐに鷲づかみされる。
「(……無意識にしてるから、質が悪い…///)」
赤くなっているであろう頬を、誰にも見られないように、そっぽ向いて……
「……これだと、すぐにほどけるから……///」
滑らせるように手を動かし、陽菜の指と、絡めあうように手を繋ぐ。
「……うんっ…!」
俺がそっぽ向いているから、顔は見えないけど、うっすら染めた頬が、少し濃くなり、笑顔で頷いてると……、嬉しそうな声だけで想像がついた。
「では、家康さん達も手を繋ぎましたし……そろそろいいですか?」
佐助の声に、顔を正面に向け、陽菜と繋いでいる手を、少しだけ力を入れると、陽菜もぎゅっと握り返してきた。
「僭越ながら、開始の合図は俺が、この法螺貝でさせていただきます。」
どこから用意したのか、佐助は開戦時に使う法螺貝を、しっかり手に持っている。
「お二組とも、頑張ってください。では………ラブきゅんミッション対決。スタートです!!」
ブオォォ~!!
響き渡る法螺貝の音を聞き
俺たちは同時に走り出した。