イケメン戦国『プレゼントを探せ!~徳川家康誕生祭~①』
第5章 プレゼントを探せ!~三十日、辰の刻~
「秀吉さんと………勝負…?」
「……別に俺は構いませんけど……」
キョトンとする陽菜。そして陽菜とは違い、流れる所作で、刀に手をかける家康。
その様子に、香菜はギョッとして、慌てて口を開く。
「家康さん!落ち着いて!刀の勝負じゃありませんからっ!!秀吉さん!俺と勝負じゃなくて『俺たち』と勝負でしょ!」
「は?」
「え?どういうこと?」
「それは、俺から説明するよ。」
「「っ!?」」
いきなり後ろから声が聞こえ、ビクッ!と反応する陽菜と家康。
すぐに後ろを振り向けば、佐助が立っていた。
「佐助くん……驚かさないでよ……」
「すまない。驚かせるつもりはなかったんだけど。」
「……それより、香菜が言った『俺たち』って……どういう意味?」
「はい。秀吉さんと香菜さん。家康さんと陽菜さんは、恋仲同士です。ですから、恋仲二組の『ラブきゅんミッション対決』をしようかと。」
「らぶきゅん…?……密書?…あんた何がしたいわけ……?」
佐助が話す、聞き慣れない言葉に、顔をしかめる家康。
それを見ていた秀吉が、普段の兄貴分の顔に戻る。
「なんでも、愛を確かめあう勝負らしい。」
「それ……勝負することですか…?」
「まぁ、勝負するようなことじゃないが……なんていうか佐助が乗り気でな……」
ポリポリと頬をかく秀吉の視線の先を、家康は辿ると……
「普段の家康公が見れる、またとないチャンス。……楽しみすぎる。」
無表情だけど目がキラキラとしている佐助。
そして………
「こんなことしなくても、家康に大事にされてるよっ……///」
「あら。秀吉さんだって、私のこと、すごく大事にしてくれてるわよ?」
顔を赤らめながら、すでに姉妹でバトルが始まっていた。
「……………」
「どうだ?家康。やるか?」
秀吉に肩をポン。と叩かれ、三人の様子を見て、重い重いため息を吐くと……
「……どうせ『やる』っている選択肢しか残ってないんで、やりますよ…。そのかわり負けませんから。」
「俺も負けるつもりはないぞ?」
家康と秀吉も、静かに、そして激しく火花を散らしていた。