第3章 ようこそこれで■■が■ないね。
夢の焼き直しみたいな時間だった。
(?そう言えば隣のクラスの女子と出でいくの見たよ)
校舎を出て
(君のとこの学生服来た女の子、二人見たなぁ。確かあっちに行ったかな?)
街に出て
「なんだよ、これ」
修繕されていないボロボロの空き家の一室にそれはあった。部屋に血生臭さが充満してなかったら変な形のでかい置物と間違えたと思う。
それには手が四本生えて足が四本あった。間違った形で繋ぎ合わせられた出鱈目な形の顔は知らない奴、でも腕や足は少し見覚えがある気がして、
「、あ、ああ」
近寄って落ちたボールらしきパーツを持ち上げて確認する。
あいつだった。瞳は乾ききって片方の眼球は無くなって顔の半分は削ぎ落ちて無かったがあいつで。
「何だよ、それ」
俺は戦士で何度か戦場に行かされて、何度か死にそうな目に遭って実際殺される経験して死体も見たことも何度もあって、でも、それでも吐きそうになる。
知ってる顔だからか
こいつの笑顔を知っているせいか
こいつと居るのが悪くないと思ったせいなのか
100回試して、辿り着いたのはこのオブジェがある部屋だった。
上の空で夜の街を歩く。
「俺、何で思い上がってたんだ?」
心の何処かであいつは俺しか助けられないと勝手に錯覚していた。一応、戦士だし特殊な技能もあるし。面倒だけどそれも心の何処かで悪くと無いと思ってて。でも幕切れは呆気なく。ねずみさん『ハンドレッド・クリック』を使って100回傷ついて助けられなかった。
(あいつの持ってるのなんだ)
(作り、物?)
周りが妙に騒がしい。手元を見る。ああ、俺、あいつの頭持ったままだった。制服も血で汚れていたけど、なんかどうでもいい。
無意識に足を運んだのはあいつとよく一緒にいた屋上で定位置の場所に座る。
「悪い、夢、まだ見てんのかな」
膝の上のあいつは答えない。
「あんた、って名前なんだ。今日初めて知った」
答えない。
「何でも良いから下らないこと話してよ。ちゃんと聞くからさ」
答えない。
「、っ」
こんなのありかよ。
時間は深夜の十二時を回ろうとしている。あいつがいない明日がやってくる。
明日なんて来なきゃ良いのに
あいつの頭を強く抱き締めるて俺は目を瞑った。