第3章 midway
「お疲れェ」
相変わらず離れた地で暮らす二人だけど、彼の涙が私の心を掴んで離さなかった。
「靖友、来週会えるんだよね?」
そしてきっと、変わらず待ち続ける私を彼は放っておけないのだろう。
「会えるヨォ」
「どっち?こっち?そっち?」
見知らぬ土地だったあっちにも慣れた。そして彼もこっちに慣れた。
「オレばっか行ってねェ?たまにはこっち来いよ」
「そんな事ないよ。手帳に書いてるもん。私のが多く行ってるよ」
「ァー、じゃあ、地元で会う?」
「なんで」
「察せばァか」
そして長い旅は、突然に。
終着駅はもうすぐなのに、長い旅が楽しくて気が付かない時もある。
「実家、挨拶行こうぜ。お待たせ。…待っててくれてあんがとねェ」