第3章 本編40~56【完】
56【完】
市が安土へ帰るからと、義兄上と揃ってる時に挨拶しに来た。
何人か刀剣が着いてるって事は
市のこんのすけと練った作戦は成功したらしいな。
苦笑いの長谷部の前で
何か俺と義兄上に抱きついて離れない市が居るんだが
この甘えたな幼馴染みはどうしてくれよう?
「・・・ぐすっ」
「おーい、市?安土城とうち、ゲート繋げて貰ったんだろ?泣くな泣くな」
「はぁ、市・・・何を泣く事がある」
眉をハの字にさせてぐすぐす泣く市は
俺達にも審神者業させておいて先に帰るのが申し訳ないのだそうだ。
何時でも会える様にゲートあるんだから
気にすんなとぐりぐり頭を撫でても・・・ほんっと頑固だなお前は。
「気にすんな、市の方が先に役目が終わっただけだ。寂しくなったらゲート潜って遊びに来い」
「我等はこれから仕事が始まるだけ、ぞ。泣くでない」
「ほっひぇいひぁいのー」
むにーっと市の頬を伸ばすとやっと顔を上げて
「長谷部、市の事頼むな」
「分かっておりますよ」
こいつも戻ったら戻ったで安土城で忙しいんだっけか?
まあ、市のこんのすけも通うっつってたから
新しい刀剣が来ても問題無いだろ。
「なあに、砂漠で千夜を過ごすより本丸と言う拠点で過ごす方がよっぽど良い」
「ポエム尼子が出いたたたた」
「ぽえむが何か分からんが、良い言葉じゃないってのは分かった」
頬をつねったら泣き止んだ市が謝ってるけど
全く、最後まで締まらんなお前は。
信長公が待ってるであろう安土城へ繋がるゲートまで見送って
市はまたねと消えて行った。
さあて
「俺達もさっさと帰れる様に審神者業しないとな」
「フン、歴史を良いように修正しようと企む愚か者共を絞めるだけぞ、時間は掛かるまい」
競争だな、とお互い笑い
元気に帰ってきた五虎退を抱き上げて
市の審神者業は一段落したのだった。