第3章 本編40~56【完】
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夜も更けて皆が寝静まった頃。
元就は離れの寝床に行く事無く、執務室に篭り
前任のやっていた不正問題についての仕事を続けている
あの首を斬った男は仕事はしていたらしいが
報酬の小判等を着服し刀剣達の手入れも適当に
己の欲のままに刀剣達を審神者の言霊で縛り暴力を与えていた。
何とも身勝手な振る舞いにはぁっと軽く溜め息を吐いた。
何故自分がした事ではないのに報告書を書かねばならぬのか
殺してしまったから尋問も出来なくさせたのは我のせいだが
一期と不動の証言を聞いて端末で操作をし書類を書き上げていく
ふと、ゆっくりと近づく気配に顔を上げた。
「何ぞ」
「やあ、気付かれてしまったか毛利公。随分遅くまで仕事をしているな」
「尋問をする筈だった男を我が殺した。そのしっぺ返しを食らっておるだけぞ」
「少しでも仮眠は取ったか?昨夜もろくに寝てないのでは?」
「2,3日寝ずとも慣れておる。三日月、其方も早に眠るが良い」
先日、主の友人・・・市姫が言っていた。
すぐ無理をして徹夜するから寝かせてあげて、と。
成程、これは手強いな・・・どうやって眠らせようか
再び、近づく2つの気配にくすりと笑うと
毛利公は訝し気にその気配へと顔を向けた
「小夜左文字?宗三左文字?」
「お茶、持って来たよ主」
「まだお休みになられてないのですか?」
ありがたく熱いお茶を手に取り啜ると、小夜は嬉しそうに元就の傍に
宗三は反対側に腰かけて元就の肩をほぐし始める
「・・・我はそんな年ではない」
「最近徹夜が続いてるのですから、眠りましょう?」
「主、一緒に寝よう?僕が守ってあげるから」
「・・・」
何だか刀剣達に心配されてムズ痒いんだか複雑そうに眉間に皺を寄せ
これはこの場に居ては寝るまで邪魔されそうだなと息を吐いて