第3章 本編40~56【完】
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ぎゅうぎゅうと不動くんを抱き締めてあやしながら
兄さまと光秀の今の関係をゆっくり話す
蘭丸の事も含めて話すと一期さんも興味あるのか
所々に相槌を打ってくれて。
うちにたまに豊臣さま来るよと伝えると
すんごく驚いた顔。
まあ、織田の傘下ですからね、豊臣。
凄く大きい方ですが武器は拳です
刀使いませんよ。
「不動くんも一期さんも元就を宜しくね」
「「勿論です」」
「童の様な言い回しをするでない」
「あてっ」
ゴスッと後頭部にチョップを食らって
ぬおおお、怪力元就に突っ込まれると超痛い
元就の本丸の執務室で、不動くんをぎゅうぎゅうしながら
元就との話に花を咲かせた。
・・・・・・・・・・
茶を啜っていた長谷部は、ここの長谷部と相対し
くいっと顎を無人の部屋を指したので
市の長谷部は小さく溜め息をついて
ここの本丸のへし切長谷部の呼び出しに応じた。
「何の用だ?まあ、お前が言いたいのは市の事だろうな」
「織田信長の妹だそうだな、貴様は正気か?」
苦虫を噛み潰した様に吐き捨てる
暗に市を貶してる言葉にピクリと反応し
瞬時に襟首を掴み地面に叩き付ける
練度は市に依っていつの間にか強くなって居た自分の方が高いらしいな。
「っく・・・!」
「残念だったな、俺はお前の様に下げ渡されていない。信長公から直々に市に渡った長谷部重国だ」
「な、んだ、と?」
ニイと笑みを作って自身について語る
自分でも性格が悪いとは思うが
市を貶されては、我等市の刀剣男士が黙ってはいない。
手を離し、パンパンと手を叩いて立ち上がると
元就公の長谷部はショックだったのか
目が点に、まあ。そうだろうな
「黒田長政は大事にしてくれたのだろう?」
「!」
自分は2つの記憶を所有している。図星を突いてやれば
目が泳いでるぞへし切長谷部。
「今の・・・主は毛利元就公だ」
「なら良いだろう、ウジウジしてても現実は変わらない」
元就公の仕事を手伝ってやるんだな、結構大変そうだからな。
呆然としたまま地面を見詰めるへし切長谷部に活を入れて
その部屋を出て、先程の縁側に戻ると
市が心配そうな顔で俺が戻るのを待って居た。