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審神者になった華

第2章 本編20~39


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「ここが・・・」

晴久は1つの部屋の前で止まり唸る。
この部屋は前の審神者が寝室として使ってた部屋だ

今は普通に憩いの場としてるが、刀剣達の心の傷は大きいのか誰も入ろうとしない

色狂いの女だって聞いたが其れほど迄にか。

「どうした?其の部屋で寝るつもりか?」
「色狂いの女が寝てた部屋に寝る気は更々ねえよ」

おら、宗近も手伝え、と言うと
きょとりとした顔で。

「布団一式、ここの押し入れの中なんだよ」

さあて、俺は何処に寝るかなと本丸の構造を思い出して
よいしょとふかふかの布団を持ち上げる。

執務室の横が空き部屋だったな

「どこで眠る気だ?」
「ん?執務室の隣に空いてる部屋あっただろ」

そこ俺の部屋な、と言いながら歩いていたら
ひょいと半分取る手は宗近。

「俺も手伝おう、何。急に斬りかかったりはしない」
「易々と斬られるかよ」

お互いに憎まれ口を吐いて、執務室の隣の部屋は割と広い。
仮眠の時でも使えるなと布団を置いて

「はぁ・・・執務の続きでもすっか」
「短刀は遊びに行き、光忠は夕餉の支度だ。俺が近侍を勤めよう」
「おう、悪いが長谷部呼んで来てくれ」
「あいわかった」

執務室での最初の仕事は此れからの事ではなく
今までの事で心に傷を負った刀剣達の安息

それが終わらにゃ出陣も何も無いなと
カタカタ、最新の絡繰の操作を何とか覚えて

長谷部にやること教えて貰わんとな。

馬当番、畑当番、手合わせは俺も混ざりたいから・・・

「主、お呼びですか?」
「ああ、悪い長谷部。今までの執務も片付けなきゃいけなくなった」

悲痛な表情の長谷部を見て、ああ、前の審神者は執務も全然してなかったな?と察し

デスクの前に座って過去の仕事を呼び出し

「数年前のモノからですが・・・これからですね、はい」
「うわ、此れは多いな」
「あの女は執務をしなかったからな」
「仕方ねえ、少し助っ人呼ぶかー」

執務室から其のまま庭に出て、毛利に繋がる扉をくぐる新しい主を見て
長谷部と宗近はこてりと首を傾げた。
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