第1章 本編00~19
「お市様が初陣をする前と似た光景だな」
「信長公と姫様は流石兄妹、似てますねぇ」
そこ、ほのぼのと暴露しない!
皆に笑われてるよ今!私は!
まんばくん無表情で顔を反らしても肩が震えてるって。
布で顔を隠してても揺れてるから!
確かに兄さまもなかなか、初陣前にあーだこーだ渋って前線に立たせてくれなかったけど。
・・・そう考えると私も同じ事してるよ
兄さま、あの時は内心ウザいと思って本当にごめんなさい。
一時帰郷したらこっそり謝ろう。
全員を1人1人抱き締め、お弁当を持たせて戦地に見送り。
黒羽が様子見を買って出てくれたので偵察に行ってもらい。
雹牙とお留守番なう・・・
よし、今日は帰って来た皆が喜ぶ様な美味しいご飯を作ってあげよう。
「何か作るのか?」
「うん、尾張から、材料持って来ようかな、って」
「俺が取ってくるから何かに書き留めておけ、お市様は鍛冶場に行って刀でも見てこい」
「ありがとう・・・」
雹牙まじ優しい兄ちゃん。
ツッコミも仕置きも痛いけど、小さい頃から教育してくれてるので。
思えばいつも私を優先にしてくれる。
「あいつらが戻った時にお市様が不在だったら悲しむだろう」
「うん、分かった。今書くね」
筆と墨と和紙を取り出し、持って来て欲しい物を書き込む。
あ、ついでに私が不在の間、兄さまに代行して欲しい政務を簡単に纏めて
雹牙にお願いし、刀工さんの居る鍛冶場に向かった。