第1章 本編00~19
「市はね、貴方がいくら"写し"だと、言っても、他の刀の子が来ても、絶対に君を、手放さないからね?」
「っ!」
「市は、貴方を打った、堀川国広さまに会った事、あるの、所有者の氏政お爺様にも」
「俺を打った、堀川国広に?」
疑問を投げ掛ける山姥切国広に頷く
「国広さまも、氏政お爺様も、仰ってたわ
貴方は山姥切とは名は付いてる、けど国広様の打った中でも美しくて、切れ味は山姥切よりも上回る、国広さまの、最高傑作なのだから」
彼を覆う布ごと抱える様に抱き締める
「棄てられるって、思わないで?山姥切国広。
目の前に居る貴方は、替えも無い、唯一の存在、なの」
「・・・解った、から・・・あんたがそんな顔をするな」
不器用に背中を擦られた。
不思議に思いまんばくんと顔を合わせたら私の目からころりと一滴・・・嗚呼、無意識に泣いてたのか。
擦るなと言われ、まんばくんが長谷部さんから手拭いを受け取り当てて拭ってくれる
ほら、この子はこんなに優しい。
「あんた達の主は、いつもこうなのか?」
まんばくんから離れて座ったら長谷部さんから「伝わった様ですね」と、にこやかに頭を撫でられた。
長谷部さんがイケメン過ぎてつらいです。
「姫様は幼い頃からこうですね」
「お市様は昔から変だな」
黒羽、雹牙、それは褒めてるのか貶してるのかどっちよ。
じとーっとした目で見詰めたら外方を向かれた。解せぬ。
「そうか」
そう言ったまんばくんの顔は、少し笑ってる様に見えた。
少し、気は晴れてくれたのかな。
彼を、写しだと・・・偽物だと言うのならば
私も"お市"の姿をした偽物なのよ?
私は彼を棄てたりなんか、できるわけない