第8章 第8話
林の中に入ると、少し広くなっている所があったから、そこに猫の身体を置いて近くにあった木の枝で穴を掘った
ある程度掘った所でその穴に猫の遺体を置いて横を見ると、さっきの仔猫が俺があげた鮭の切り身をくわえて見つめていた
雅「お前…この鮭の切り身持ってきたのか」
そっか…仔猫はこれをこの猫にあげたくて俺の所に来たんだったな
雅「解った…これも一緒に埋めてあげるな」
俺はその鮭を仔猫の口から取り、猫の口元に置いて身体の上に土を被せていった
するとその仔猫が鳴きながらその土を掘り返そうとしていた
完全に土を埋め終ってもまだ掘り返そうとしていた仔猫を抱き上げた俺は
雅「…お友達は死んだんだ…ゆっくり休ませてあげよう…」
そう言うと、その仔猫は俺の言った事が解ったのか俺を見つめてまた激しく鳴き出した
その声は『鳴く』と言うより『泣く』様な声だった