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Hit the floor

第3章 Secret Lady








「ほんとに25?」


私の顔を覗き込むように
視線を送ってくる。


「な、なんですかそれ、」


私が少し怒ったように頬を膨らませると
「ふふ」と優しい大人の笑い方。



「や、落ち着いてんな、って。
 言われない?」



それはずっと気にしていること。
25歳と言えばもう立派な社会人で
もちろん大学生とは違うが
その中でも落ち着いている、と
よく言われてきた。




「…い、われます。
 彼からも可愛気がない、と」

「あー、違う違う」とまた笑いながら
話す彼が「良い意味で」と
言葉を付け足した。






「なんかね、すげえいい、
 俺、好きだよ?」




その送られた怪し気な視線から
目を離すことができなくて。




「か、からかわないで下さい」



目の前のグラスにまだ少し残る
シャンパンを飲み干した。




それを見た智さんがまた含み笑いをして

「可愛げなら、たっぷりあるのに、ね?」

とまた私の体を熱くさせる。




「…さ、智さん
 意地悪がお好きなんですね」

「ふふ、バレた?」



そう言ってシルバーのバケツに入った
シャンパンボトルの水気を拭き取り
私のグラスにソレを注ぐ。




ボトルを持つ指先が
綺麗でつい見とれてしまった。

これはきっとこの久しぶりな雰囲気と
ゆったりした音楽と特別なシャンパンと
智さんの、甘い言葉のせい。





「ん?なに」


と私の視線に気づいた彼。


「いえ、…手、が綺麗だなって」




彼につられて
つい私も普段は言わない
素直な感想を述べてしまう。



「え?ふふ、そう、なの?」

「言われません?」

「いや、どうかな、わっかんねえ」



また「ふふ」と可愛く笑う。



「智さん、本当に33ですか」

「え、なんでよ」

「・・・ふふ、なんか不思議です」

「不思議?」

「なんか…扱いに慣れてる
 大人っぽいとこもあるし
 今みたいに可愛く笑ったり」



そう言って笑うと
彼が真面目な顔して
「だめ?」と首を傾げた。




視線が繋がったまま、
もう一度。



「嫌い?こういう男」





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