第2章 本編1〜70
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城に帰って来てから、出掛けてた間に溜まっていた政務を片付けて居たら
ザッザッと足音を立てて近付いて来る気配に
思わず嫌ーな顔をする
「何の用だ松永久秀」
「おや、ご老体故、行く場でも見失いましたか?」
うわあ、何で来ちゃったのこのおじさま
「何、卿等が気にする事ではない、私は姫に用があるのでね」
はぁ、ハッキリ私に用があると言われたら意識を向かざるをえないじゃないか。
「何の用?」
「機嫌が悪いね姫君、執務ばかりで疲れただろう?共に遠出でも行かないかね」
貴方が来なかったらご機嫌なままだっちゅーの
内心毒付いてたら黒羽も雹牙も抑え込まれてしまったので
仕方無く出掛ける事に。
じゃないと黒羽達が危ない・・・
松永さまに促されて馬に相乗りしようと身体を持ち上げようとすると
不意に腕を掴まれて馬に乗るのに引っ張って下さった。
「ありがと?」
「おや、意外だったのかね?」
「うん、凄く」
だが片方の手で手綱を持ち、もう片方で私を抱き締めるのはいただけない。
ペシっと手を叩いて制すると「つれないね」と残念がる。
貴方は何がしたいんですか。
色々と絶景を見せて貰いながら、本当にただの遠出かと安心していると
ぎゅうっと背後からぎゅむっと抱き締められて驚く。
「卿は普段縁談が来ないと友人に愚痴を溢してると聞いた、私の所に嫁ぐ気はないかね?」
「松永さまに嫁ぐ位なら友人に押しかけ女房します」
絶対貴方には嫁ぎません宣言したら
ふむ、それでこそ落としがいがあるものだ、とやめてえええ。
確かに貴方は素敵渋おじさまだけれど第一印象最悪だったからね。
北条のお爺様人質にして友人を使ったのは今も怒っていますよ?
安土城に無事に帰ってから、三好の3人が黒羽達とお茶してたけど
まあ、この上司だから色々苦労もあるのでしょう
「今日はありがとう」
不本意だけれどにっこり笑ってお礼を言うとおや、と
にやりと笑って
「このまま祝言まで持って行きたいものだね」
「絶対嫌」
あなたのその盗賊行為を止めてくれれば考えてもいいのに。全く。
さっさと三好3人衆に松永さまを引き渡して
持って帰って下さいね。
はぁ、今日は厄日かも、お塩撒いておこ。