第2章 本編1〜70
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南部お爺様の領土から出てほてほてと南下し、政宗の領土に差し掛かるとこで
のしのし
のっしのっ…
何か恐竜の尻尾みたいな戦装束の人がいるなと見詰めてたら
急に止まってぼすっとぶつかってしまった
「わぶっ」
「ねぇ…又兵衛様に何か用ですかぁ?」
うわ、じっと見詰めてたの気付かれてたか
「ごめんなさい、この装束が可愛いと思って」
「…」
あれ、機嫌悪くさせちゃったかな、と思ったら
そのまま歩き始めて、ええ!無視?
「ね、怒らせたらごめんなさい。そうよね、男性だもの可愛いって言ったら怒るね」
ごめんね、と追い掛けて
ピタリと止まった彼の顔はまさか謝られるとは思って無かったのか驚いた顔をして
「いえ、別にいいですけどぉ」
「良かったら道が別れるまで一緒に行かない?」
「かまいませんよぉ」
良かった怒ってない、と思ったけど
黒羽と雹牙、昴が居ない?人と合流したから身を隠したのかな
「貴方のお名前、何て言うの?」
「俺様は後藤又兵衛って言うんですよぉ」
「市って言うの、宜しくね」
又兵衛は目をぱちくりさせて
「あんた尾張の姫さんでしたか」
「市の事知ってるの?」
市って呼んでね、と笑うとぷいっと顔を逸らされて何か悪い事言ったかなとソワソワ。
「又兵衛様はねえ、豊臣の所属なんですよぉ」
「あ、そうなんだ」
竹中さまの話を楽しそうに語る又兵衛は凄く良い人に見えたんだけど。