第4章 春日山お泊まり合宿!
お城についた頃にはもう夕餉の準備が始まっていた。
まだ日は傾き始めたばかりなのに、少し早い気がする。
「ねえ、幸村。夕餉の準備早くない?」
「あ?…そーいや今日は宴を開くとか言ってたぞ」
「ふーん…誰かの誕生日なの?」
「ちげーよ。お前が来るからだろ。きっと」
「ああ、そーいうこと。かたじけないなぁ」
なんだそれ、と幸村が隣で笑った。
こういうお兄ちゃんいたら楽しいだろうなぁと思っていると後ろから抱き着かれた。
「やぁ、姫。」
「あ、信玄様。」
「ちょ、な、なにやってんだ!!!」
幸村が隣で大声上げているのが面白いので、このまま解くのはやめようと思った。
「幸村助けて…うぅっ」
泣いているフリをすると幸村は慌てて信玄様の手を解いた。
「女見つけたらいきなり抱き着いたりしないでくださいっつってんだろ!!」
「おや?姫、その指にはめている物はなんだい?」
「あ、これ可愛いですよね〜〜謙信様に買ってもらったんです!」
「話聞け!!!」
「謙信様が?そりゃ驚いたなぁ」
「俺がどうした」
噂をすれば。
謙信様が後ろから悠々と歩いてきた。
「姫のこの指にはめている物の話だよ。……って、お前もはめてたのか」
「え?!」
いつの間にか、私のペアリングの片方は謙信様がはめていた。