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【ヒロアカ】血まみれヒーローと黒の少年【原作沿い男主】

第7章 アザミの家




 心臓がどきりと跳ねた。ここは孤児院で、身よりのない子どもたちのための施設なのだと頭では分かっていたけれど、改めてその境遇をほのめかされるとどう反応したら良いか分からない。哀れむのも聞き流すのもおかしい気がして、気まずそうに黙り込む出久に明が助け船を出す。


「コメントしづらい話はやめとけよー、陸。ま、俺も人のこと言えないけど」


 明はそう言うと、陸のふわふわした金髪の頭を犬にするように乱暴に撫で回した。髪をぐしゃぐしゃにされながら、陸は「あ”いー」と不思議な返事を返す。にへにへと溶けそうな笑みを浮かべて、とても嬉しそうだ。この二人は仲が良いのかも知れない。


「おい」


 と、急に誰かから声をかけられた。潤や明や陸の声ではない、別の声だ。出久は辺りを見回したが、それらしい人物は見あたらない。


「そっちじゃねえ。下だ」


 また同じ声がした。指示通り下を向くと、すぐ傍に金髪の少年が立っている。年格好はさっきお尻を蹴り上げてきた舜と同じくらい。大きな緑色のたれ目はくりくりとしていて、とても愛らしい顔立ちをしている。そこはかとなく誰かに似ているような気がするのだが、誰だろう。この短時間でかなりの人数を紹介されて、出久もうまく記憶を整理できない。


 この子が話しかけてきたのだろうか。しかしそれにしては大人びた口調だった。確証を持てないまま、目線を合わせるように屈み込んで挨拶する。


「こ、こんにちは……?」
「ほぉ。オールマイトも随分鼻ったれなガキを選んだもんだな」
「!?」


 甲高く可愛らしい声で放たれた、とても年齢相応とは思えない粗野な言葉に、出久は思わず耳を疑った。誰かがアテレコでもしているのかと思ったが、今の声がこの小さな少年の口から放たれたことは疑いようもない。よくよく見ると、彼は出で立ちこそ7、8歳のいたいけな少年だが、ズボンのポケットに両手を差し込み、片足に体重をかけて不良のようにだらしなく立っている。明らかに年相応の態度ではない。

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