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【ヒロアカ】血まみれヒーローと黒の少年【原作沿い男主】

第7章 アザミの家




 顔を上げると、視界いっぱいにひかるの顔が迫っていて出久は思わずびくついた。辛抱たまらないといった興奮した表情で、ひかるが話しかけてくる。


「あのっ、緑谷くん! 突然なんだけど、ちょっと質問しても良い?」

「えっ、あ、な、何でしょう」


 出久が勢いに負けてこわごわ聞くと、ひかるは頬を上気させたままにこりと笑った。腐り落ちたような色をした無惨な傷跡などものともしない、可憐な笑顔だ。


「俺同い年だから、敬語なんて使わなくても良いよ。で、質問なんだけど。ワン・フォー・オールは今までの「継承者」が培ってきた力の集合体なんでしょう? つまり何人分もの個性がごちゃ混ぜになって無理矢理一つの個性としてまとめられているような感じだよね。そうなるとやっぱり、人体には相当な負荷がかかると思うんだけど。緑谷くんは見た感じそれなりに鍛えてるよね? 怪我をしてまだうまくワン・フォー・オールを使いこなせないみたいだって翔には聞いたけど、具体的にはどんな感じで怪我をするの? 骨折? 打ち身? 出血はする? 痛みはどんな感じなのかな?」

「え、あ、え、えっと、その……」


 怒濤のような質問に、出久はたじたじになって意味のない言葉を漏らすしかなかった。出久もよくオタク気質を発揮して人を質問攻めにしてしまう節があるが、それをされる側になってみるとなかなかどうして同じテンションにはなれない。きらきらと輝く青い瞳が放つ期待のまなざしがちくちくと全身に刺さる。


 迫るひかるとたじろく出久の様子を見て、外野の明は楽しそうににやりと笑った。


「ひかるは個性オタクなんだ。将来は個性研究者になる~とか息巻いてる。自分を殺そうとしたヤツらと同じ職業に就きたいとか、なかなか気が狂ってるよな」


 その言葉に、ひかるは明の方を振り向いてぶすくれたように言った。


「違うよ、兄さん。俺は人間を人間とも思わない外道になりたいんじゃない。まっとうな、誰にも恥じることのない研究をして成果を上げたいんだ。今生きている人間を傷つけて苦しめることでしか結果を出せない連中は、研究者とは言わない」

「へえへえ、そうだったよな。まったく大したヤツだよお前は」

「そうやってすぐからかう……」

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