• テキストサイズ

【ヒロアカ】血まみれヒーローと黒の少年【原作沿い男主】

第7章 アザミの家




 快活な少年、もとい明は、おどけたように両手の人差し指(と6本指の彼に言って良いのか分からないが、とにかく普通は人差し指にあたるであろう指)をびしっと出久に向けてみせた。やっぱりテンションが高い。付いていけない……。


 しかし、飛影学園。雄英と並んで称される屈指のエリート学校だ。普通のヒーローのように事務所を構え、相棒(サイドキック)を雇うという形態ではなく、警察や消防、救急救命隊、自衛隊など官営の組織の直属として任務を全うする『特務ヒーロー』教育に特化し、これまでにも数多くの『特務ヒーロー』を輩出してきた異色のヒーロー育成学校。


 本来、ヒーローはどのような組織にも迎合せず、個人の活動に徹底し自営業的性格を保つことで民衆からの支持を得てきた節があった。しかし、警察や消防など、何かと協力関係になることの多い官営組織とヒーローが完全に袂を分かつということは、連携の齟齬や認識の相違、要らぬ軋轢を生む温床にもなっていた。


 それらの問題を少しでも解消すべく、二十数年前から制定されたのが通称『特務ヒーロー法』だ。警察の特殊部隊や消防、救急救命、自衛隊など、「人命を救うため、また人命を脅かすあらゆる脅威に対抗するため、時に個性を行使する必要のある専門的組織」に限り、一定数のヒーローを組織内に配属することが可能となったのだ。


 しかしその門戸は普通のヒーローのそれより遙かに狭く、強力な個性と卓越した身体能力、明晰な頭脳を併せ持つ一握りの者だけが歩むことを許される道。さすがの出久も、特務ヒーローには多少の憧れはあるものの、自分などには到底務まらないと思っており最初から志していない。というか、雄英高校のヒーロー科でもそういう生徒がほとんどだろう。特務ヒーローになりたいなら飛影学園へ。世間にはそういうイメージが定着しているし、事実本気で志すなら雄英ではなく飛影の方が、専門教育も就職サポートも充実している。


 そんな学校に通う粒ぞろいの生徒たちが、ここで興味深そうに出久を見つめてくる少年少女たちだと言うのか?


 非常に申し訳ないけれど、そういうイメージは皆無だ。部屋着を着ていかにもくつろいでいる感じのこの人たちが、黒スーツをびしりと着込み、指先まで寸分のズレもない敬礼をしているところなど想像もつかない。

/ 106ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp